tanonteer.taigart.com : 2012年11月


11ガツ17、18ツアー ソノ2

2012年11月18日


(つづき)
南三陸町を後にして石巻を目指します。
今回は石巻の復興民泊へ宿泊し、翌日いろいろ見て回ろうと計画されていました。

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石巻へ向かう道すがら追分温泉に行こうということになり、以前にも何度か行ったことのあるという牛乳ナビのもと山道を抜けていきます。

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毎度のことながら疲労のあとのハイテンションでツイキャス放送。悪ノリでお風呂場から「晩秋のマツタケフェス」を放送しようと思ったけれど、電波状況が悪く、お客さんも沢山いたので生中継できませんでした。期待に胸を膨らませていた皆さんごめんなさい。

お風呂は意外に狭くて温泉も掛け流しではないので残念でしたが、木造の建物から香る木の香りや熱めの湯は疲れを癒してくれるにはもってこいです。日帰り入浴300円というのも嬉しい。南三陸や石巻でのボランティアの際にはここに泊まって部屋出しの料理を楽しむのもいいねー、我々はもぅいいオトナなんだから、なんて皆で納得。この旅館は震災当時、アンオフィシャルな避難所として地域の人たちを受け入れていたようです。

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売店も充実。

復興民泊のチェックイン時間も迫っていたので後ろ髪をひかれながらも早々に引き上げます。「民泊」といっても村人が実際に暮らすところに泊まらせてもらういわゆる民泊とは違い、被災した商店街の中にあるビルの2階を改装して作られた簡易宿泊所。6畳ほどの部屋の中に2段ベッドが3台詰め込まれたアジアの安宿的なドミトリーの宿泊所です。でもアジアの安宿より何十倍も清潔感はあります。

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一泊一人2300円を支払うとカッチカチのシーツと枕カバーが渡されるので自分でベッドメイキング。初老で頻尿の僕は迷わず下のベッドを選びます。

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民泊の裏通りはスナックやクラブの立ち並ぶ歓楽街。だけれど食堂のようなところはなかなか見つけられない。雨の中を散々歩き回ってようやく居酒屋に入ってビールにありつく。せっかく温泉でホカホカだったからだもすっかり冷え切ってしまってた。宿に入る前にファミレスとかで食事をしておいても良かったかなと思った瞬間。

石巻の高速道路を下りて街まで向かう道沿いには新装されたファミリーレストランやホームセンターが立ち並ぶ。食べたいメニューを選ぶには事欠かない。ところでそういった建物に混ざってひときわ目立つのがいくつもあるパチンコ屋。馬鹿でかい建物にギラギラのネオン。出稼ぎ労働の人たちの暇つぶしの場所か、地元の人たちの現実逃避の場所か、駐車場はどこもいっぱいだ。同情する部分もあるけれどこれでいいのかな?と何だかちょっと腑に落ちない切ない気持ちになる。人づてに聞いた話だけれど、震災直後にとあるファミリーレストランが被災者の復興支援、雇用提供のためにといち早く店舗を新装開店させた。だけれどアルバイトを募集してもなかなか人手が集まらない。働いてお金を得てしまうよりも、実際補償で生活しているほうが楽なのだろうけど。

酔いも回ってきたところで我々文化的意識の高いタノンティアたちは、仙台出発前から楽しみにしていた映画鑑賞に向かうことにした。震災前からここ石巻には週末オールナイトのオールドフィルムの映画館があるという。きくところによると東北六県で残っているのはここだけとか。震災後も再会したというので我々文化的意識の高いタノンティアたちは古き良き昭和を楽しむべく向かった。

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...暗い。明かりが消えている。
ここまできたのに諦めてなるか!と我々文化的意識の高いタノンティアたちは食い下がって呼び鈴をしつこく押してみると、ドアの向こうから「今日はもう終わりました」の無愛想な返事。看板にもオールナイトって書いてあるじゃん!と皆憤る。何とも文化的意識の高いタノンティアたちだろう。

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しょうがなく真っ暗闇の中、看板だけを楽しみながら妄想を掻き立てる。僕の青春時代を救ってくれた林由美香嬢のポスターを見て、同級生のJNくんは「確か自殺しちゃったんだよね...」と寂しそうなため息を漏らす。さすがさらりと溢れんばかりの知識を披露された。ああ古き良き昭和。

映画を諦めたところで大食漢のイイツカくんがラーメンを食べたいというので中華屋を覗くもどこもいっぱいで座れない。ようやく一件見つけて僕以外は全員一杯完食。よく食べるなぁ、昼間もラーメン食べたじゃん。

宿に戻ってベッドに横になると僕はそのまま爆睡。朝10時に叩き起こされるまで爆睡。JNくんとイイツカくんは早起きして昨日再オープンした石ノ森漫画館まで歩いて来たそうだ。タフね。

宿をチェックアウトしてとりあえず腹ごしらえ。車を停めてあった復興マルシェで朝食兼昼食を頂きます。風が強かったけれど、イベントをやっていたようで狭い敷地ながらもまあまあの人出。
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バキュームイイツカはここでも名物(?)石巻焼きそばと油麩丼の2つを平らげます。せっかく茨城からきたのだからと全てを堪能します。

復興マルシェから日和山へ登ってみました。
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目下に広がる景色は想像通り、というか、更地が広がるばかりです。

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日和山を下りて、いつもの場所へ。

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津波の高さを示す柱が立っていました。

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松並エリアにてイイツカくんとはお別れ。このあと仙台に立ち寄って、僕の展示と志賀理恵子さんの個展を見てから帰路につくといいます。本当にタフだ。

残った僕らは大川小学校へ慰問へ向かいました。

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津波は北上川を遡上してこんなところまで来たのだな。やっぱり言葉を失います。

そのまま仙台に帰るつもりが再び南三陸ボラセンへ向かいます。目的は昨日置き忘れてきた牛乳くん自慢の道具回収(得意げに高々と道具を揚げる昨日のブログの写真参照。)

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ついでに志津川の市場でお土産買ったり屋台の海鮮食べたりと堪能。

この2日間でボランティアがてら観光していくぶん散財してきたな。今度はいつ来れるかな、とも思うけれど、やっている内容は当初とかなり変わってきている。大きな違いは被災者とのコンタクトがほとんどないこと。タノンティアは瓦礫撤去をしながらの被災者の人たちが早く家に戻れるための手助け作業だったけれど。今では被災者もある程度の住居が確保されて、生活のリズムを持ち始めている。最近は被災地の変化を見に行っていることにウェイトが傾いている。急を要することでは無いから気長に、来れるときにまた来て被災地を観察していければ良いな。
ともかく皆であーだこーだ震災や被災地のことを話しながらこうやって過ごす時間は楽しいし健康的だな。

Posted taiga : 23:28 | Permalink | Comment (0)

11ガツ17、18ツアー

2012年11月17日


久しぶりのタノンティア。場所は南三陸です。
今回のメンバーは牛乳君(仙台)、イイツカくん(土浦)、JNくん(横浜)の計4名。なんとも色気の無い男臭いベテラン揃いのチームです。

南三陸に作業に来るのはおよそ1年ぶり。印象派というと「変わってない」。こんなにも変わっていないものか。復興が始まっていると言うより野ざらし感。病院なんかは取り壊されていたけれどもちろん新しい建物なんかもないし、そこらに瓦礫がまとめられて山になっている。

南三陸のボランティアセンターは8時半集合9時から作業スタートとという遠方から来る人たちにはちょっと早起き必須の受付です。イイツカくんは仙台発の僕らと合流するために、道の駅で仮眠して参加という正気の沙汰とは思えないスケジュールでいつもボランティアに向かっています。

道はスイスイ、2時間弱で南三陸ボランティアセンターに到着。名簿に名前やボランティア保険の有無(現地で加入できます。無料。)を記入し、それぞれの車で現場へ向かいます。

本日の現場は十日町という場所。観光客の慰問場所にもなっている鉄骨剥き出しの庁舎が残る場所も見えて海も見えるど真ん中のエリアです。作業内容は地面や地中に埋もれている瓦礫の撤去です。

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もともと工場か何かがあった場所なのか、大きな穴がいくつも空いてます。作業中に落ちると危険なので大きなコンクリートの瓦礫で蓋をして応急処置。

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今日のボランティア参加数は60名ほど。宮城ナンバー以外にも群馬や札幌、川崎ナンバーも目立つので未だに各地から駆けつけてくれているようです。宮城の「わ」ナンバーもあるのでレンタカー借りて来てくれているのだな。ありがたや。

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大きな石やコンクリートを除けると冬眠前のダンゴムシくんたちを起こしてしまいます。ごめんなさい。

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ほじくり出した物はコンクリート片や石、プラスチック、鉄、磁器、木材などなど分別して行きます。

秋の東北、さすがに寒さが厳しくなってきました。お昼休みに前から気になっていたラーメン屋さんがあったので暖かい食事を求めて試しに行って見る。

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放置されたバスがラーメン屋さん...おいおい、ダサすぎる...。


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...座席がそのままテーブルに...。斬新すぎる。

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...しかしメニューは充実。

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ナンバーも付いていないこの放置バスが客席。キッチンの付いたマイクロバスが営業のためにやってきて運転席越しにできあがった料理を受け渡す。斬新。

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外にまわるとこんな感じ。透明のドームで繋げられている。一昔前のラブホテルの会計システムみたいだ。斬新。

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エアコン、大型テレビ完備。真夏やこれからの季節にはとても助かります。今日は小雨もぱらついてきたのでありがたい。

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むさぼり食う野獣たち。

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セットのミニ炙りチャーシュー丼は美味かった。ラーメンのコスパは...並、かな。だけど雨風寒さを凌げたので総合的にはかなり高得点。

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SタノはMイイツカくんのために運びきれないくらいの重い瓦礫をバケツに入れて待ち構えます。単調な黙々とした作業に飽きてくるのでこんなプレイも大切です。

そもそも「こんな作業必要か?ここは緑地公園になるのだから重機でごっそりやって埋めてしまえば良いし...。」という疑念は払拭できません。そこで牛乳君「ボラセンの人たちも特段必要な作業ではないとわかっているようです。だけれど地元の人たちが通るときにボランティアがいるのを見ることで、復興してきている気持ちになれる。観光客も多く通るのでいまだボランティアが必要で、働いている人たちがいることをアピールできる」と。なるほど、我々はパフォーマーとしての役割が大きいわけか。「ここである程度分別したものが、山の裏側にある港に面したJVの再処理工場で別な人の手で更に丁寧に分別される。その人手が地元の雇用になっている」と。ナルヘソ。そうやって経済もまわるのだ。

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休憩の合間に何やらスケッチブックに絵を描いている本日最年少参加の16歳の少女。この広がる惨状を描いているのか...と、ちょっとした感動をおぼえて近づいて覗いてみると...美少年のアニメキャラを描いていました。世の中は思うようにならない...。

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定時15時に作業終了。ところどころにコンクリート片の山ができてます。

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我らタノンティアのエリアもコンクリートの床が全て露出するくらいに片付きました。雑巾がけしたいくらいです。


作業終わりに恒例のタノンティアポーズ。

ボランティアセンターに戻ってからいざ石巻へ。
今夜は石巻の復興民泊に泊まって、明日はあたりを巡ってみます。

あれだな、早起きして駆けつけ体を動かして汗をかくという最近のボランティア内容はゴルフに近いな。

(つづく)

Posted taiga : 23:59 | Permalink | Comment (0)

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