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リサーチ

2011年10月30日


今日は久しぶりに石巻を訪ねることにしました。僕の最後の作業は南三陸だったし、精力的なサテライトのみんなも団体以外は受け付けなくなってしまった石巻VCでの作業ではなく、ほかの地域の作業がほとんどだったため誰も現在の石巻の様子がわかりません。今回は作業では無く視察。呼びかけに集まってくれたのは牛乳君とぬマッチ、はるかんの、そして川崎市からジュンヤ君です。

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ひさしぶりのタノストップでコーヒーを。

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最初に訪れたのは浄水場。1回目のタノンティアバスツアーでボランティアをしたニャンチャンワンチャンの動物救護センターのあった場所です。他の場所に移って今は更地です。ウ○コの一つも落ちていないようです。

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石巻VCのあった石巻専修大学へ。敷地の外の河原沿いにはホームレス化してしまったボランティアのテントがいくつか張ってありましたが、公式テントサイトになっていた校庭はすっかり運動場の姿に戻っていました。

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道具倉庫になっていた建物の中はちょっと荒れ放題な感じ。倉庫番のチャーリーたちの姿もありません。

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多くの作業をした松並地区へと向かいます。

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石ノ森漫画館の中州にかかる橋の欄干も綺麗になっていました。車を停めてうろうろしていると通りすがりのおじいさんが「どっからきたの?」と声を掛けてきました。「東京から、あ、でも仙台から」というと、そうか、といって自分の被災の体験やこのあたりがどうだったかをを話し始めます。3月末からボランティアにちょくちょく来ていたことを話すと、ありがとう、といいつつもちょっと物足りなそうで寂しそう。きっと見知らぬ観光客に自分の体験したことを話すことで癒されるのでしょう。被災者の話を聞いてあげるのが大切なカウンセリングの一つだとつくづく感じました。

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3度ほど現場に入ったヒルトン姉妹のお宅周辺。工場は外壁が塗りなおされ、2階には生活の臭いがします。でも周囲は閑散としています。山積みになった土のう袋や瓦礫の山はすっかりなくなっていました。

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何度もお昼休憩で利用させてもらった駐車場もきれいに整備されています。

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倉庫転がしや釘踏みをしたお宅。黄色い家屋は取り壊されて更地になっていました。お隣さんが来ていたので話をしましたが、行政の方針がまだ決まっていないので、家を直すかどうか悩んでいるとのこと。「南三陸や気仙沼は港が稼働している。アジア一(いち)の漁港だって言われてるのに、市長は何もしない」と憤っていました。

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知る人ぞ知る「チ○コのカニ」事件の元漁師のおじさんの家。ん?綺麗になっている。そして家の中からは楽しげな笑い声がします。被災者の人と再会するつもりは無かった(むしろ会わないように心がけていた)のですが、こっそり覗こうとするとたまたま家から出たところこちらに気付かれてしまいました。おじさんは僕らのことを覚えてくれていました。「家ばツレーに(綺麗に)したんだ。ホレホレ、上がってって!」とあまりに嬉しそうなのでちょっとお邪魔することに。

縁側から家の中に上がらせてもらうと沢山の美女達がお茶を飲んだり甘い物を食べたりと宴の真っ最中。家の中はすっかりリフォームされていて、大型テレビも鎮座しています。ボランティアに入ったときにも60インチのテレビが瓦礫の下から出てきました。「もっとおっきいテレビが欲しかったんだ。んだっけどももうこのサイズまでしがないだど(もっと大きなテレビが欲しかったのです。しかしながら、このサイズまでしかないのですって)」と十分すぎるサイズの55インチのテレビにちょっと不満を漏らしておりました。

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ここに集まった人たちはおじさんの通っていたカラオケサークルの面々。以前にもきいていたことですが、市民センターでのサークル活動のほかに、(2月に他界した母親の亡き後)自分の家にみんなを集めて家でもカラオケパーティーを開くのが日常でした。家がリフォームされ、テレビとカラオケセットも再導入され、これから毎週日曜日にここで寄り合いカラオケが開かれるのだそうです。人を招き入れるのが大好きなおじさんは見るからに人が良く、みんなから愛されているのがわかります。ひっきりなしに掛かってくる電話を片手に、新しく手に入れた中古の軽自動車で方々に人を迎えに行く人の良さ。ものすごく暖かくほのぼのとしたコミュニティーです。

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独り身のおじさんお庭には植物も植えられていました。

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津波にさらわれてしまった倉庫も立派なものに新調されていました。

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震災直後に仙台まで買いに行った愛車の中古カブ。「○十万もして新車よりも高かったんだぁ〜」と笑顔で話していました。ここぞとばかりに高く売り、それを言い値で受け入れる、という宮城、仙台の「らしさ」を垣間見ました。700円で買ったキャベツを手に「うれしいです」と震災直後のテレビに映る光景を思い出しました。

牛乳君がトイレをお借りしたときに別の部屋にも大型テレビがもう一台あったそうです。「リフォームに倉庫にテレビに最新カラオケセットに...かなり大変だったでしょう?」と尋ねると、ニコニコしながら「ほれ、おれはタバコも酒も賭け事もやんねぇし、カラオケだけだがらなんどがなったんだ。ほれでもこれでぜーんぶ無くなってしまっただけんどもな」と言っていました。みんなが楽しむ場づくりをするのがとても好きなんだろう。みんなに慕われて本当に幸せそう。ちなみにおじさんは僕らがボランティアに行った頃から続けてる『携帯電話のアンテナ用の発電機などを見張る仕事』をまだ続けているそうです。

お茶や大福や柿など、美女達に勧められているうちに去るタイミングを逃してしまい、気がつくとおじさんも誰かを迎えに出かけてしまいました。さすがに戻って来るまでは帰ることができないので、牛乳くんとほかの現場の様子を見に抜け出しました。(つづく)

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艶声・美女軍団のみなさま


Posted taiga : 2011年10月30日 23:50

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