タノテリン
2011年06月19日
今日のタノンティアカー4名乗車。
いつもは長距離移動の快適さや作業道具の運搬荷物のことなどを考えて3名だけ乗せることにしているけれど、僕は腰痛、戦力外だと判断したのでフル乗車です。
ボートレーサー濱Dさんに加え、以前東京から参加してくれたサトル嬢、そして埼玉よりそのサトル嬢のブログをを頼ってきたXファン繋がりのイデイさん、前日夜中に無理矢理連絡くれたニヘーさんの計4名。サトル嬢とイデイさんも会うのは初対面に近いというから面白い。
現地で引地プラスチックさんと合流して今日のタノンティアは合計6名。
ボランティアセンターでもらったニーズ票をみて、前任のチームリーダーの報告書から、ちょっと厄介だなぁと予感がした。現場の大事そうで僕ら6人ではどうしようもないので、ニーズ待ちをしていた個人参加者を4名ほど募りいざ出動です。
ボラセン倉庫番のイケメン・チャーリーは僕が登場すると「警察に通報しますよ」と言うのが最近の口癖。
店舗兼住居の現場は2回目の作業だと言うけれど酷い有様。
ほぼ手つかず、と言っていい。敷地も広い。
今日は店舗内だけの作業に絞らせてもらった。
「絞らせてもらった」というのには訳がある。
透析をしているという母親と2人暮らしの依頼者は、一般の避難所ではなく高齢者の多い要介護者避難所にいるというのだが、本人のキャラなのか、被災で精神状態が不安定なのかはわからないがとてもやりにくい。10名しかいないのに、あらゆる依頼をしてくる。
たとえば瓦礫の下から出てきたジュースを取って置いて欲しい、「手を洗うのに使うから。(僕らに向かって)みんな手を洗いたいでしょ?」とか、大物の家具が散乱した部屋を見せて「畳を出したい。家具はそのままでいいから。」とか。手つかずの店舗内を(確実に2日はかかる。)「これぐらいすぐ終わるでしょ」とニヤケながら言ったり、「掻き出したヘドロを敷地の窪地に撒きたい、雨水が溜まると不衛生だから。」(住むつもりは無いし、家屋は壊すつもりだけれど、水が溜まるのが嫌。)とか、言っていることが訳がわからない。
ボランティアは被災者の望みを叶えることがミッションではあるけれど、彼の求めるやり方や状況作りでは、10人で臨んで毎日作業しても数ヶ月はかかる。そして僕が「どんな状況までにしたいですか?」と質問しても「どんな状況?目的?そんなのない。僕が決める」と。
ボランティアが不足していること、1階が津波で被災しているけれど2階に住む人がいるところを優先させてあげたいこと、人が戻り始めている地域の側溝をきれいにするのにとても多くの人手が必要なこと、などなど(このお宅のあるエリアは被災が酷く海にも至近なので今後の行政の判断待ち。)全てをかみ砕いて説明して納得させるまでものすごく労力を使う。そして結局のところ納得している感じもない。半ばケンカしながらの作業です。
「あそこのうちは大変だろうなぁ。うちはもともと何もないけれど、あそこの(お金持ちの)うちは大変だろうなぁ...」フフフとニヤケる。
店舗内に放置されてたアイスボックスの中には溶けて腐ったアイスや食料品がそのまま異臭を放ちます。「大きな棚は出さなくていい。アイスの商品だけ出したい。2万円の入った封筒も出したい」と言われても、全部出して行かなきゃ作業はできません。
商品を拾い、ヘドロをひたすら掻き出す。
畑や工場のこのエリアに住居は少ないけれど、どこの家も放置されている。
僕の腰痛具合と言ったら「ヒドイ」の一言。お昼休みにはタノテリン(バンテリン)を塗って貰います。いや、塗らせてあげます。
今日の作業はここまで。まだまだまだまだかかります。
タノミッドは腰も痛くて上に積み上げられない。
ボラセンに戻って報告書を書くときに、今日一日の内容や家主とのやり取りと、彼にカウンセリングなどが必要かもしれないことを伝えておきました。
実は今までにも何度か気が重くなる現場がありましたが敢えて記述を控えてきました。被災地は様々な人間像や人間模様、そしてドロドロとした社会の様子が見えるのも現実です。泣いて笑って感謝されるばかりでは無いのです。生々しい、それが本当の世界です。
仙台市内で帰り際に、明日まで開催しているタノンティア常連のチョーさんの個展に寄りました。みんな美術館はもとよりギャラリーなんて行ったこと無いという人たち。未知の世界に興奮気味です。競艇選手にX-JAPANファン、そんなアートと縁遠かった人たちもたくさん参加するタノンティア。世界は広い。
長距離運転で腰がまた痛み始めます。ギャラリーの床を借りて濱Dさんも一緒にタノテリンタイム。何がヒドイって腰が曲がらずお尻が拭けない。誰か手伝ってください。
Posted taiga : 2011年06月19日 01:15