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タカラサガシ

2011年04月26日


今日も一人でタノンティア。まぁ一人は移動時間が退屈だけれど、頭の中で色々考えるにはとても良い時間。

今日のニーズは宝探し。前日に依頼内容確認の電話をしたところ、家はもう取り壊すことにしたから瓦礫の撤去や泥出しは要らない、ただ一つ、ロレックスの時計を探したいから折り重なった瓦礫を除けて探して欲しい、見つかった時点で作業終了でいい、とのこと。瓦礫の撤去や泥出しなどの住空間の確保といったいつもの依頼とはちょっと違う依頼。

僕は一人だったので、石巻VCで派遣待ちをしているボランティア2人に協力を依頼して現場に向かった。ボランティアセンターの人に要請内容を告げると「その海側の被災の酷いエリアでは湖の中で10円玉を探すようなものだよ」と言われた。

物件は一戸建て。被災当時からいまだに手をつけていないような状況だ。家主の男性の言うところに依ると、2週間以上家に帰れずにいたら、自分の敷地内に隣の家の瓦礫が投げ捨てられているという。確かに不自然に積まれたカラーボックスなども住居への侵入を阻んでいる。段ボール4箱分のオトナのビデオテープが風呂敷に包まれて放置されていたりするが、それも全て誰かが置いていったという。

小銭を貯めてた貯金箱はどうやら盗まれたようだ、誰かが出入りした跡がある、と家主も半ば諦めながら、グチャグチャになった大きい食器棚や折り重なった畳を除け、ガラス片や小物が混じった汚泥をかき分けること約2時間。ついに僕の目の前の泥の中から姿を現しましたロレックス。

IMG_2263.jpg

たかが時計、されど時計。
喜びのあまり、自分で買ったそのロレックスの思い入れを矢継ぎ早に話してくれた。男の価値は車と時計、と言う価値観も世の中には存在していた。聞くところによるとその男性は50代の独り身。被害で失った物の話もしてくれたが、ダンヒルのメガネとか、高級なお酒が数十本あったけれどもういいや、と。バブルを生きた世代だ。ただ彼のアイデンティティーは思い出の詰まった、こだわりで買った螺鈿とゴールドのロレックス1つで保たれる。不思議だけれど理解もできる。男はなぜか時計に意味や思いを持たせたりする。
ところであの無数のビデオ、本当に誰かが捨てていったのかな、なんて思いが帰りの車内で湧いてきた。50代男性家族無し。男はプライドの生き物です。

午後はお昼過ぎに激しい雷雨に見舞われ、ボランティアには作業中断終了の通達。結局すぐにおさまってしまったのだけれど。僕はボランティアセンターの依頼で石巻から東松島までの避難所の入浴状況をリサーチして回った。小さな町の避難所を見て回るのはこれが初めて。場所によってものすごく濃淡がある。体育館のような大規模な場所でしっかりと管理され、屋外に自衛隊のお風呂が設置されている場所もあれば、誰も車を持っていなくて入浴施設からかなり離れた田圃の中にある小さな公民館もある。お風呂の送迎が来ても日中は被災家屋の瓦礫の撤去や仕事に学校の用事がある上に、夕飯は夕方で夜は9時に門限消灯(!)という集団生活。毎日好きな時間に湯船に浸かるというあたりまえの日本の習慣は大きなストレスになっている。ボランティアとしてお風呂付きのキャンピングカーが訪ねてきてくれても盗撮が心配で女性は入らない、という。
今日はいろいろと新しい体験をした一日でした。

今朝早くには、タノンティアベースキャンプをミズキ姉弟とライター影山さんは去りました。しばしのあいだ遠方の友人知人らは来ないな、と思ったら先ほど東京からあきりか到着の連絡。春からSMT勤務になった路地人の千夏ちゃんの家に泊まるという。みなさん来仙のご予定はお早めにご連絡下さいね。明日はあきりかを加えた5人でタノンティアカーは久しぶりに満車です。活動報告をしていた車移動最中生放送のタノンティアツイキャス(R18)もまた下品でくだらない話ばかりになるでしょう。

現地にてタノンティア合流希望の方はご連絡下さい。
もう寝る。

Posted taiga : 2011年04月26日 02:42

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