tanonteer.taigart.com : ボキン


ボキン

2011年03月26日


募金活動について思うところがあります。ちょっとシビアな考えですが。

現在も、多くの方々がS十字に募金していて、人々の善意は捨てたもんじゃない、と大変素晴らしいことだと思っています。ただ、S十字の活動は主に被災地の医療および福祉に役立てられます。人々の生命維持は大切です。今後、孤児達の支援も必要です。いくらお金が集まっても足りるものではないでしょうけれどもう一つ考えなければならないのは生き残った人たちが生きて行く上での経済活動です。太平洋岸の漁業や農業、そして産業は壊滅的です。いくら国が援助しようとも、再び全て元通りになるには限界がありとても時間がかかります。募金で作られる仮設住宅も仮設でしかありません。

病気回復や生命維持のためにはS十字のような資金集めの受け入れ口があります。ただ経済活動のためにはこれといったものが存在していないようです。日本という国を維持するためにも経済活動をしていくための直接的な支援が必要なんだろうと考えています。インタビューを受けていた全てを失った気仙沼の養殖業の人が漏らしていました。命あったからよかった、といわれても生き地獄だと。

S十字の活動は素晴らしいと思います。ただ、こぞってS十字に募金することがこの問題を解決することにはつながるとは限りません。事業にお金を提供するにはやはり投資会社を通じてというのが筋でしょうが、100円や1000円や10000円の個人の募金額では経済復興に反映が難しいかもしれないです。S十字に値するような団体が経済復興支援のための募金窓口を設けて、集まったお金を経済復興を頑張ろうとする既存であった産業に無返還や無利息のような資金融資(や寄付)できるものがあれば、仕事を失った人たちへの希望になります。

国も寄付を受け付けていますが、使われ方は広範囲でいまいち不透明なので、仮に被災地の企業産業復興支援のみにと限定すれば、それに納得と信用して特化したお金が集まるでしょう。政府または政府が認めた公益(?)法人が窓口を設け募金によって復興支援してもいいのではないかと思います。税金から、とか曖昧にするから使い方の不満も出てくるわけで、募金という半ば手から離れたらあとは「良いことに使われているだろう」と漠然と信用(もちろん産業復旧支援のためなどに)できるものがあったらいいのに。どの企業にと審査する過程や、被災していない地域企業への不公平さ、などクリアすべき課題も多いのですが。ただ、医療福祉などの支援だけでは今のこの国の経済力は弱まり国力は低下し、巡り巡って全国民の首を絞めてしまいます。

生き延びた人たちたちに仕事がなければ、結局は生きていけない。養殖業を営んでいたその人も、数千万の融資を受けて養殖場を数年前に作ったばかり、また借金してやれると思わない、と言っていました。それに他に何も資格もないし、他の仕事なんて無い、と。

莫大な資金が集まるのがS十字だけではなく、なんらかの経済支援団体に寄付する(貸す、ではなくあげる)ことが可能であれば、生き延びた人たちの希望をさらに繋げることができるのではないかと思います。

もちろんS十字の活動は必要でしょう。ただ、豊かになって経済大国になったこの国に今後も継続的に経済支援をしてくれる国はそう多くはないかもしれません。S十字は世界各地の福祉・医療の支援に結びつき、どこかの国の誰かのための支援になるのでとても重要な存在ではあるのですが、悲しいかな、悪く言ってしまえば今回の支援で集まった募金の全てが今回の災害関係に全て充てられるわけではないようです。なぜならその用途は福祉や医療などといった限定的なものであり世界規模の広範囲すぎる地域のために活用されるからです。テレビに映った養殖業の人の復興支援でなく、集まった募金(の残り)は別のところ(の国)に流れることもあるというのを、私たちはきちんと理解していなければなりません(受け入れなくてはなりません)。だからこそ、被災者に何とかしたい、という善意を無駄にしないためにも、うまく被災者の経済的自立の手助けになる募金のシステムがあればよいと思うのです。被災地の行政に直接寄付することも可能なようですのでこれを選択するのもおすすめです。
地方自治体は今後も困窮するでしょう。ただ公共性の上では、現状では主に公共事業に使われるまでにとどまりまうかもしれません。国への募金も同様ですが公(公益)と私(企業)の解釈の難しいところではあります。

何もS十字の活動を妨げようとか、募金の意識を削ごうとかそういったことではなくて、私たちがきちんとお金の行く先を見極めて行動しないと、思ったほど必要としているところまで善意が届かないのです。生きるためにS十字支援による仮設住宅も孤児の支援ももちろん必要ですが、船を流され、畑を汚され、会社を流された人たちを不憫に思うなら、別な団体や直接支援する方法もあるかもしれません。

僕の知識不足か、もし、経済的に起業や復旧をバックアップする支援募金団体があるのであれば是非情報を下さい。

「農家や酪農家への補償に万全期したい」と首相が発言した記事が新聞にありました。
ただ、農業・産業に限らずその資金繰りとして国債を発行して支援して国の価値を下げてしまうよりも、また国民の税金をあてにしているよりも、募金で集まったお金のほうが現金としてそこにあるわけで、もっと即効性がある気がします。
ただ、業種によって競合する企業や投資会社からの異論があるかもしれない。他の国が経済復興のための直接的な支援しないのも、競合する自国の経済を守るため当然かも知れません。そこも難しいところですが。

ところで経験者は語りますが、便乗の街頭募金にはくれぐれも気をつけて下さい。
みるからにアヤシイ団体は気付きやすいですが、S十字から公式に「S十字」の名を借りて街頭に立ち募金することは誰でもできるのです。通常はS十字から鍵付きの募金箱を借りて行いますが、募金箱が不足している場合は自前の箱でも街頭募金活動ができてしまうのです。それに警察に届け出さえすれば誰でも、言ってしまえばどんな団体でも街頭に立つの許可がおりてしまいます。
募金は信用できる団体に振込などで募金することをおすすめします。

日本S十字募金
http://www.jrc.or.jp/contribute/index.html

それから国や地方公共団体に対する寄付金や日本S十字社など特定の公益法人に対する寄付金は寄付金控除を受けられます。確か1万円以上であれば控除を受けられたと思います。振込だと寄付金控除を受ける際の証明になりますが、街頭募金などは領収書などの証明書が出ないので対象外です。法人も対象で損金扱いになりますので、利益を上げている企業の方は是非(控除を受けずに納税のほうが意義があるのかな...。)

寄附金控除(国税庁)
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1150.htm

生々しいし受け取る側は気を遣ってしまいそうですが見返りを求めず現金を直接あげる、というのは一番効果的な支援かもしれません。実際、阪神淡路で被災した人がもらって一番嬉しかったのは現金だとききました。現金の用途に制限ありません。物流が戻れば洋服だって食べ物だって好きなものを選んで使えます。家を建てるための貯金にだってできます。人によっては着たくもないダサイ洋服や毎日インスタント食品で過ごさなければならいのは逆に気が滅入るでしょう。好きに使えるお金ならアイデンティティーは失わなくてすむでしょう。

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(追記)
僕の認識違いで、S十字などの団体は医療福祉だけでなく、被災者全般に災害支援金として一定の基準を設けて配分されるようです。ただ、やはり経済復興目的に配分はされないようです。

募金詐欺の被害を避けるために、政府が募金の窓口を設置しはじめたようです。

Posted taiga : 2011年03月26日 02:02

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